ひとり残されて
1982年9月6日ついにひとりになった。
生存していた者は全員死んだ。
かえって好都合だ。
急ごしらえの小船が嵐に翻弄され転覆するさまを、
私は崖の上から眺めた。
黒雲は洋上にかざされた巨大な手のように、
不幸な連中を乗せた小船にしゃにむにつかみかかった。
嵐の怒りに誰も抗うことはできなかった。
私はその様子を注意深く観察した。
嵐はなんの前触れもなく巻き起こり、しかも局地的だった。
そして、やはり唐突におさまった。
しかし何より興味深いのは、
この嵐がたまたま発生したようには思えないという点だ。
私には・・・
情念というか・・・
何らかの意思のようなものが感じられた。
この島で何が起きているのかはわからない。
しかし、生きて脱出するには、
この現象を解明しなければならない。
ここからが正念場だ。
マサイアスはこの島について調べるために、仲間を犠牲にした・・・どうしてそんなひどいことを・・・