ディフィニティブエディション

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救済

 

島に流れ着いてから何日も、天候は荒れ続けた。
雨風をしのぐ場所も食料もなく、動くことさえままならず、
まるで巨大な手に押さえつけられているかのようだった。

 

ようやく嵐が去ると、ファザーマサイアスがやってきた。
穏やかな物腰の男で、俺たちが何者でどこから来たのかを知っているようだった。
マサイアスは俺たちの母国語で話しかけてきた。

 

そして、この島の真実を明かし、二者択一を迫った。
救済か、それとも死か…刃向かう者もいたが、
マサイアスはそんな連中をなんのためらいもなく殺した。

 

そこには悪意も怒りも感じられず、ただ落ち着いて、
断固として行動しているようにしか見えなかった。

 

俺は仲間の血を浴びたまま砂浜に立ち、
この男には決して逆らえないと悟った。

 

 

ニコライという男の日記。彼もこの島に漂着した遭難者なのね。「ファザーマサイアス」という名前が出てくる。私が会ったあの男と同一人物かもしれない。


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